tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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日本の家計の将来不安は不可避なのか?

2016年06月17日 11時51分15秒 | 経済
日本の家計の将来不安は不可避なのか?
 今日の日本経済の不振の原因として格差社会化と将来不安そして政治不信を挙げてきました。前回、格差社会化がいかに消費性向を低下させ、経済不振を齎しているかを見て来ました。

 格差社会化が世界のどこでも消費不振に直結していることは次第に明らかになっています。日本の場合、これにプラスして消費性向を下げ、金利もつかないのに貯蓄性向を上げている(消費性向+貯蓄性向=100%)のが「将来不安」のようです。

 将来不安の原因の最大のものは「高齢化」でしょう。将来益々働き手の割合が減り、支えられる人ばかりが増える、「大変だ」、という数字です。
 政府のいわゆる中位推計でも2010年1億2800万人が50年後の2060年には8674万人と2/3に減ることになっています。確かに鬼面人を驚かせます。

 ではこれで人口が平均年率何パーセントで減るのかといいますと、0.776%の減少です。ということは日本経済が年1パーセントの成長をすれば、一人当たりの豊かさは平均的には増えていきます。この所、合計特殊出生率も中位推計より上がってきましたから、状況はもう少し良くなりそうです。

 勿論これは平均の話ですから、これからも格差社会化が進めば、確実に将来不安を感じる人は増えるでしょう。この先は、政治不信の問題で、「これまで通りなら、とても駄目だな」と思えば、国民は将来不安に駆られるでしょうし、「政府は格差社会の是正を進めてくれる」との信頼があれば、国民は安心するでしょう。

 現状でも、高齢で元気な高齢者は増えています、多くの方々が、GDPに勘定されない社会貢献活動をしておられます。労働力不足も高齢者活用も政策次第です。
 現在日本の国民経済生産性はアメリカの約6割です。アメリカ並みの生産性にすれば労働力は6割で足りるという計算もあります。(公式統計ですが些か疑問?)

 ここでも数字を出していますが、人は数字を出されるとすぐ信用するという傾向があるようです。数字は説明の仕方、グラフの作り方などで、与える印象を操作できることは、統計学の初歩でも教えてくれます。

 本当の問題は、GDP(GNI)を国民に如何に配分するかで大きく違ってくるというところにあります。このブログでは、 資本主義が生き延びたのは社会保障制度(福祉国家の概念)を取り入れたからだ(もう1つは経営者革命)と指摘していきます。

 「その心は」といえば、「格差社会化にブレーキを掛けたから」ということでしょう。本当のことを言えば、「ブレーキ」ではなく、国民とともにGDP(GNI)の最適配分を考える政策こそが望まれているのでしょう。
 企業でも、経済でも、「 現在の配分が将来を決定する」のです。

 国民は貯蓄し政府は国債発行という配分の在り方、 本当は消費税増税が必要なのに、選挙の前はやめておく政策、累進税率を大幅に緩める一方で非正規雇用を増やす税制と雇用政策ミックス、金融政策を重視し、株価上昇がまず優先されるような政策などなど。

 総じて問題を先延ばしし、国民の将来不安をますます深刻にしかねない政策のように感じられます。
 
 失われた20余年の苦い経験で、なかなか将来不安を、払拭できないのが、今の国民の多くではないでしょうか。国民は、これならストンと腹に落ちるというような堅実で解り易いシナリオを待ち望んでいるように思います。

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